――勇―― ・・・寝ているのかい? シャンプーの香りが、鼻先を掠める。 「・・・ん・・・姉さん・・・?」 あの時から三年・・・今年も庭に蜜柑の実がなった・・・。 夕涼み 〜ブレンパワード 勇・依衣子〜 「あ・・・ごめんよ?起こしちゃったね・・・」 いつの間に寝てしまっていたのか、気付かなかった。 何故か、顔を赤らめる姉の依衣子。 そして、その姉に膝枕をしてもらっていたことに気付き、勇も顔を赤くし慌てて頭を上げた。 「うわぁ!・・・ご、ごめん」 「あははは、そんなに慌てなくてもいいのに」 三年前からは、想像も出来ない、優しい笑みを浮かべる姉さん。 いや、これが彼女本来の気質なのだ。 白いワンピースに胸まで伸ばした髪が映える。 「・・・」 「ん、どうかした?」 自分を見つめたまま、黙りこくってしまった弟に首をかしげる。 「あ、いや・・・なんでもないよ・・・ただ・・・」 「ただ・・・なんだい?」 すぐ傍に姉の顔がある。 ・・・吐息が熱い。 「ただ・・・綺麗・・・だなって・・・」 ちりん、ちりん・・・と風鈴が鳴った。 風が依衣子の長い髪をもてあそび、その顔を隠す。 長い沈黙・・・。 風鈴が鳴り止んだとき、依衣子は唇に指を当て、一段と顔を赤らめていた。 「あ・・・」 どちらが先に、その唇を開いたのか・・・。 再び訪れる沈黙の後、今度は依衣子が、はっきりと言葉を発した。 「あたしは!・・・あたしは・・・勇が・・・好きだ・・・」 「・・・姉さん・・・」 「そう、姉弟さ・・・でも・・・それでも!」 家族を・・・弟を守りたいが為にオルファンの抗体になった。 好き・・・愛してる・・・誕生日に花をくれたっけ・・・。 そう、他人なんていらない・・・勇がいれば! 「――?!」 唇が、再びふさがれた。 勇の唇が、姉の唇をふさいだ。 「・・・姉さん」 「ん・・・は、ぁ・・・今だけでもいい・・・名前で・・・勇・・・」 「わかった・・・依衣子・・・」 体が火照っていくのがわかる。 微熱に犯されたように、二人は三度、唇をあわせた・・・。 「ぁ・・・」 蝉の声がわずらわしい。 依衣子の白い肌に、紅い跡が作られていく。 日暮れの太陽が、その跡を艶かしく浮かびだす。 ほどよく膨らんだ乳房、小さな乳首・・・。 「ふ、ぁあ!・・・噛んじゃ・・・だ・め・・」 身体が跳ねる。 二人を襲う背徳感。 それは、二人をさらに熱くする・・・。 生暖かい風が、身体をさらに火照らせる。 風鈴の音すら、お互いの吐息を消してしまう邪魔なものに感じる。 汗の匂い・・・。 畳の匂いが溶け合う。 まるで、お互いの想いが交じり合うかのように・・・。 「ふは・・ぁ・・・勇、今度は・・・あたしが・・・」 自分よりも、一回り以上小さな姉の手・・・。 (・・・こんなに・・・小さかったのか・・・) その手が、勇を包み込む。 「ん・・・んむ・・・」 ぎこちない、初々しい手つき。 舌が別の生き物のように這う。 めいっぱいに開かれた唇が、依衣子の整った顔を卑猥にする・・・。 「くっ・・・」 「我慢しないで・・・出しちゃって・・・いいから・・・はむ・・ん」 ぴちゃぴちゃ、と音が耳を支配する。 唾液は、いやらしくひかり・・・勇の絶頂を急がせる。 「くぅ・・・依衣子・・・!!」 依衣子の口に熱が広がる。 苦い、初めての味に吐きそうになりながらも必死に飲み込んだ。 「あ・・・ごめん!出してよかったのに」 「ううん・・・これが勇・・・ずっと知りたかった・・・」 愛おしさが込み上げる。 一度は果てた自分のものが硬さを取り戻していくのがわかる。 「依衣子・・・もう・・・」 「あたしも・・・でも・・・」 最後の一線。 踏み越えたら・・・どうなるのか・・・。 心臓とは違う何処かで、何かが激しく抵抗する。 「勇・・・お、お尻で・・・お願い・・・」 「・・・あぁ・・・」 二人の身体は、かさなり合う。 「・・・だめ・・・きたない・・よ・・・」 「平気さ・・・痛くしたくないんだ」 唾液を含ませ、舌を入れる。 「ふくぅ・・・!」 わずかな苦味が舌をつくが気にならない。 さらに指を使い、しだいにやわらかくしていく・・・。 依衣子は、いくどもイッてしまいそうになりながらも、必死にこらえた。 「ゆ・・・勇・・・!・・・もう・・・はぁはぁ・・・くぅぅ!!」 畳の跡がつく肌は小さく痙攣し、その畳に小さなしみをつくった。 「ふあぁ!・・・勇・・・お願い・・・もぅ・・・」 「うん・・・入れるよ・・・」 「うん・・・きて・・・」 こわばる身体。 勇のものが、小さな蕾に押し当てられる。 「力を・・・抜いて・・・」 「う、ん・・・」 本来、入るべきでないところに入ってくる違和感。 痛み。 背筋がぞくぞくする。 少しずつ、少しずつ・・・依衣子の中に男が入ってくる・・・。 初めて、男と肌を交わらせる。 初夏の風が、二人の汗を交わらせる。 「くはぁあ!!」 勇の体が、ついに依衣子に密着した。 だが、すぐには動かず、いたわる様に体を愛撫する。 「く・・・ふぅ・・・!」 痛みを堪える依衣子の顔が、しだいに和らいでいくのがわかる。 畳をかきむしらんとしていた細い指をそっと包み込む。 「・・・こんなに小さな手で・・・家族を・・・俺を守ってくれようとしたのか・・・」 「はぁはぁ・・・勇?・・・動いて・・・いいよ?」 勇の独白は聞こえていない。 そして、その表情を見られまいとして、依衣子の耳に唇を寄せた。 「じゃあ・・・動くよ」 畳がすれて痛い・・・。 しかし、それ以上に交じり合う汗が心地よい。 風が絡みつく・・・。 依衣子の湿った髪はなびくことなく、互いの身体を結ぶ。 「は・ぁふ・・・くぁあ・・・!」 「はっ・・・はっ・・・ぅく・・・!」 太陽が山に消えてゆく。 虫たちの合唱を聞きながら、二人はお互いの手を強く握り締めていた。 まるで、恋人のように・・・。 「勇・・・愛してるよ・・・」 「ぁあ・・・俺もだ・・・」 了 あとがき あついやん!!何で「夕涼み」やねん!? つーことで、暑くて熱くて湿っぽくて、ある意味救いのない暑中見舞いです。しかしエロ描写、下手ですね・・・。いや、いつもの断髪も下手ですけど・・・。 |
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